『ファースト・マン』(デミアン・チャゼル)と桜田五輪相の「がっかり」発言
アメリカの宇宙ものの名作は近年だけでも、『ゼロ・グラビティ』『オデッセイ』『インターステラー』とあるけど、いずれも人に寄り添った演出を見せてくれる。
チャベル監督の『ファースト・マン』はさらに削ぎ落とすような形で進めた作品だと思う。史上最大のプロジェクトの中にいる最少単位である個人アームストロング船長に徹底して寄り添う演出を見せてくれた。
有名な月面に立つ宇宙飛行士とアメリカ国旗の写真、『ファースト・マン』ではこの国旗を立てる場面はないし、国旗が出てくるのは引き絵のワンカットだけ。この描写だけでもチャベル監督の意図がわかる。この映画がアメリカとソ連の宇宙競争の勝利の象徴、現代の英雄物語を美化して描くのが目的ではないことを。